2014年8月6日水曜日

Android Wear (LG G Watch) で三輪ロボットを操作してみた

はじめに

Android wear (LG G Watch) で三輪オムニホイールロボットをラジコンのように操作してみました。
動画はこちら。




仕組みなど

システム全体の模式図は下記のようになります。


まず、三輪ロボットに搭載されたRaspberry Piではnode.jsが動作しており、操作命令をWeb経由で受け付けています。

それに対してAndroid Wearとペアリングされたスマートフォンから指令を送りますが、その際には「Androidアプリからnode.js+Socket.IOと双方向通信する」の解説を参考に、Gottox/socket.io-java-clientを使いました。

そして、その操作命令の決定に、Android Wearからのタッチ情報を用いています。

スマートフォンとAndroid Wear用のアプリはAndroid SDK (API 20)に含まれているサンプルwearable/DataLayerをベースに作成します。時計と電話の間のデータのやり取りには下記のページのようにいくつかありますが、今回は送信データ量が大きくないので、シンプルなMessageApiを用います。

参考


解説用に簡単なサンプルを作成してみました。スマートフォンとAndroid Wear間の通信だけを実装しています。Android Studioでインポートして利用できます。

Wear側のアプリ

タッチ位置を電話のアプリにMessageApiにより送ります。ただし、タッチイベントから得た座標を毎回送るとデータ送信回数が多すぎ、通信が止まってしまうことがありました。その場合、Wearの時計画面に戻ると、クラウドアイコンに斜線が入り、通信が切れていることがわかります。

そこで、下記の対策を施し、通信を安定化させました。
  • タッチの座標の解像度を20ピクセル刻みとし、座標が変化したときのみ座標データを送信する
  • 連続的に送信するのではなく、「時計から座標データ送信」→「電話側でデータを受け取ったことを時計へ通知」→「時計側は電話からの通知を待ってから次の座標データ送信」…を繰り返すようにする
2番目の変更が安定化には重要のようでした。

(追記 2014.12 エントリ追加時は、「データを送りすぎて通信が切れると、Wearかスマホの本体を再起動しないと通信が再開されない」ということが起こっていました。現在は「通信が切れたらWearとスマホのアプリをそれぞれ終了してしばらく待つことで通信が復活する」という動作になっているように思えます。しかしいずれにせよ、通信量を減らすことは重要のようです)



電話側のアプリ

Wearから送られたWearのタッチ位置を表示します。また、既に述べたように、Wearからデータを受信したらその受信通知をWear側に送り返しています。




こちらもどうぞ

三輪ロボットに搭載したカメラからの映像をWearに表示する
三輪オムニホイールロボットの操作について

2014年3月17日月曜日

Raspberry Piの低消費電力化を目指した話

はじめに

これまで、


Android Bazaar and Conference 2013 AutumnMaker Faire Tokyo 2013などで展示してきました。

三輪ロボットにはnode.jsが動作するRaspberry Piが搭載されており、Firefox OS/enchantMOON/android/iOSなど、OSに依存しない操作がWeb技術により可能になっています。

Raspberry Piはモバイルバッテリーで稼働させているのですが、展示を行う上ではこのバッテリーの消費が早いのが問題でした。

Raspberry PiではLinuxのディストリビューションであるRaspbianが動作しており、シャットダウンと再起動にそれなりに時間がかかります。そのため、展示を見に来て下さっている方がたくさんいる状況でモバイルバッテリーの残量を示すLEDが赤くなると、どのタイミングでバッテリーを交換すべきか悩んでしまうわけです。

そこで、せめてモバイルバッテリー一つで展示1日(典型的には10:00~17:00)をもたせられないか、検討してみることにしました。

検討するのは

  • 電力消費の小さいWifiドングルを探す
  • Raspberry Pi上のレギュレータ(RG2)をDC-DCコンバータに変更する

の2点です。

電力消費の小さいWifiドングルを探す

最も電力を消費しそうなのはWifiドングルなので、消費電力の小さいものを探すのが効果がありそうに思いました。さらに、私がこれまで用いていたのはPCI GW-US54Miniというかなり古いものなので、これも電力消費が大きい原因の一つと思われました。

なお、この三輪ロボットは図の赤矢印で示すように、Raspberry Piと、テザリング機能をオンにしたXperia rayとの間でWifi通信を行っています(見ての通りとても近い)。


検討するWifiドングルは、NOOBS v1.3.4でインストールしたRaspbian (2014-01-07) のデフォルト状態で利用可能だった下記の4つです。
IO-DATAのものが2つありますが、これらにはハイパワータイプと超小型タイプという違いがあります。なお、下図で最も左にあるのが、これまで用いてきたPCI GW-US54Miniです。古いだけあって大きいですね。


計測は、Raspberry Piに安定化電源で5Vを供給し、その電流を読むことで行います。電流は、Raspberry Piを起動し、命令を受け付ける待機状態になった頃に読みます(実際の展示でも、待機している時間が長いと思われるため)。


なお、結果を示す前に注意ですが、以下のデータは、上の写真で示したように、非常に近い距離でWifi通信を行う際のものです。通信の距離が遠くなると電流は大きくなりますし、そうなった際に電流の大小関係は逆転する可能性があります。そのため、以下のデータは私のケースのみに当てはまる、あくまで目安と考えて下さい。

変更前
変更後
PCI GW-US54Mini 0.58A IO-DATA WN-G150U 0.45A
IO-DATA WN-G150UMK 0.39A
LOGITEC LAN-W150NU2AB 0.50A
BUFFALO WLI-UC-GNM2 0.50A

結果は上記のように、IO-DATA WN-G150UMKが最も電流の小さいWifiドングルでした。なお、実際には電流の揺らぎが大きいので、平均的な値を記しています。

どのWifiドングルもRalinkのチップを使っているようなので、あまり違いが出ないのではないかと予想していたのですが、IO-DATAの2つは電流が小さくなりました(上で記したように、あくまで私のケースでは、ですが)。

というわけで、以後、IO-DATA WN-G150UMKを用いることにします。

Raspberry Pi上のレギュレータ(RG2)をDC-DCコンバータに変更する

(注1)本項の内容は、Raspberry Piを破壊する可能性がある(文字通り壊さないと実現できないのですが…)ため、自己責任でお願いします。
(注2)本項の内容は、2014年7月に出たModel B+を用いることで同様の効果が得られるはずです。

実は上でのWifiドングルの交換でほとんど満足してしまっているのですが、後で思い返して気になるのも嫌なので、もう一つのレギュレータの交換についても試してみます。

今回検索して初めて知ったのですが、Raspberry Piを低消費電力化するには、RG2というレギュレータを交換する、というのが定番のようで、既にいくつかの報告があります。

用いたのは、取扱いが容易そうだった
です。

作業は
  1. 表面実装されたRG2を取り外す
  2. DC-DCコンバータを取り付ける
の順で進めます。

1.の作業は「Replacing the Raspberry Pi's Main Voltage Regulator」にて細かく解説されています。RG2のヒートシンクも兼ねているTABですが、ヒートシンクにはんだをモリモリと盛れば熱が効率的に伝わり簡単に取り外せます。

2.のDC-DCコンバータ取り付けですが、下図のように3点(PSピンをGNDに接続するので正確には4点)を接続しました。DC-DCコンバータはユニバーサル基板の裏に隠れています。


接続がちょっと安直すぎるかなと思いましたが、SDカードへのOSのインストール、Xを起動してのクライアントとしての利用、など一通りの機能は問題なく動作しました。

三輪ロボットでの電流を調べた見たところ、下記のようになりました。

変更前
変更後
純正Raspberry Pi +
IO-DATA WN-G150UMK
0.39A 改造Raspberry Pi +
IO-DATA WN-G150UMK
0.34A

およそ50mAだけ電流が減っていることがわかります。他のWifiドングルでも試してみましたが同様の結果が得られました。

Replacing the Raspberry Pi's Main Voltage Regulator」でもやはり50mA程度の減少が報告されていますので、こんなものでしょう。

効果は?

既に示したように、Wifiドングルの変更とDC-DCコンバータの利用により、待機状態の電流は0.58A→0.34Aと大幅に減少しました。それに伴って待機時のモバイルバッテリーの持ちが良くなっていることは確認済です。

ただし、実際の展示では

  • 三輪ロボットの操作時(=通信時)に電力消費が増える
  • 展示会場ではWifiの干渉によりさらに電力消費が増えると考えられる

などの理由により、「モバイルバッテリーで展示1日もたせる」という当初の目的が満たされているかはわかりません。

この点についてはAndroid Bazaar and Conference 2014 Springの展示にて検証してみたいと思います。

(追記 2014.3.22)
展示にて検証したところ、10:00~17:00まで、一つのモバイルバッテリー(5400mAhのQE-QL201)で動作可能でした。ちょうど展示終了の17:00間際にLEDがオレンジ→赤と変わったので、あと1、2時間はいけたのではないかと思います。

低消費電力化した効果があって良かったです。

Raspberry Pi Type Aに変更してさらなる低消費電力化

(2014.6.16追記)

上記の試みはRaspberry PiのType B (Model B)を用いたものなのですが、
Type A (Model A)を用いると
  • Ethernetインターフェイスが省略されている
  • USBが1ポートのみ
により、さらなる低消費電力化が見込めます。

ただし、私の場合USBポートとして
の2つのデバイスを用いているので、そのままではType Aへ変更できません。

そこで、シリアル通信をUSB-シリアルコンバータからGPIOのUARTピンに変更し、
USBポートを1ポートで済むようにしてみました。
下記のサイトを参考にしました。
また、条件をそろえるためにこのType AもDC-DCコンバータを用いて改造しています。
(注)なお、この「改造」は、2014年11月に出たModel A+を用いることで同様の効果が得られるはずです。

結果は下記の通りです。

変更前
変更後
改造Raspberry Pi Type B +
IO-DATA WN-G150UMK
0.34A 改造Raspberry Pi Type A +
IO-DATA WN-G150UMK
0.20A

劇的に電流が減ったので驚きです。

ここまで消費電力が下がると、現在はXperia rayで行っている映像配信を
Raspberry Pi+カメラモジュールで行っても良いかな?という気がしてきます。

ただし、今まではコマンドのみの受信だったものに、映像の送信を加えると
通信量が増えて新たなトラブルが起こるかも知れない、とは思います。

おまけ

この三輪ロボットはシールド交換の要領でBluetooth + androidによる操作も可能になっています(動画はこちら)。下図のようにPIC24FJ64GB002+Bluetoothドングル(これもちょっと古いBuffalo BSHSBD02BK)で実現していますが、こちらの電流もせっかくなので調べてみたところ、

  • 0.04A

でした。ちょうど一桁違う感じですね。





「ラズパイ4対応 カラー図解 最新 Raspberry Piで学ぶ電子工作」、「実例で学ぶRaspberry Pi電子工作」、「Raspberry Piではじめる機械学習」を執筆しました。

スタービルドストライクガンダムっぽいドロイド君を作った話

はじめに

ガンダムビルドファイターズの後半の主人公機、スタービルドストライクガンダムをベースにしたドロイド君をつくったのでそのまとめ。

個別写真


スタービルドストライクドロイド君

背負い物:HG BUILD CUSTOM 1/144 ユニバースブースター プラフスキーパワーゲート
青い羽根:HGBF 1/144 スタービルドストライクガンダム プラフスキーウイング
腕:BB戦士 ビルドストライクガンダム フルパッケージ

その他写真


背負い物が重いのでスタンド必須
SEEDポーズ
鎧武ドロイド、バロンドロイドと一緒に
本家のスタービルドストライクガンダムと一緒に


作り方

ほとんどプラモのパーツをくっつけているだけなので、作るのは割と簡単です。今回は腕だけでなく、背負い物のために背中にもポリキャップを仕込んでいます。あと、スタンドを利用するために底に3mm径の穴を開けました。


FXバーストドロイド君もそうですが、クリアパーツをいっぱいつけるとカッコいいですね(小並感

ではでは。

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