はじめに
(注)こちらのページは、2015年に発売されたpi-topの旧バージョンについての記事です。2017年に発売された新バージョンについての記事はこちらになります。2014年10月頃、Raspberry PiをノートPC化するPi-Topがクラウドファンディングで資金を調達するというので話題となりました(参考:Techcrunch)。
その後、資金調達に成功し、2015年2月頃には一般向けに販売を開始しました(参考:fabcross)。
当時は2015年5月頃の発送を予定していたようですが、延期が重なり、2015年11月に実際に送られて来ましたので組み立てて使ってみました。
こちらが通常のRaspbianが動作している様子です。
価格
価格は下記の通りです。
- Raspberry Pi 2 込みで299.99ドル
- Raspberry Pi 2 なしで264.99ドル
さらに、日本までの送料が85ドルかかります。価格が高すぎるということはクラウドファンディング時から言われていましたね。
(追記:さらにFedExから関税として3,500円の請求がありました)
なお、Raspberry Pi 2は筐体の中に固定され、取り外しも面倒なので、Pi-Top専用のRaspberry Pi 2を用意するのが無難だと思います。私はPi 2込みのものを注文しました。
開封から組み立てまで
箱がこちら。結構大きいです。箱を開けた瞬間、緑の天板が目につき、その予想外の大きさに圧倒されました。内容物は何段かにわかれて収納されています。
組み立てに必要なパーツを全て取り出したのが下図です。緑色のUSBのドングルはWifiデバイスですが、技適は通っていないと思われるので、お手持ちのものを利用するのが良いと思います。
また、Pi-Top OSと呼ばれる独自OSが入ったmicroSDも付属します。後述するように、通常のRaspbianでも制限はありますが動作します。
なお、短くて柔らかいHDMIケーブルが付属するのですが(下図で上から3番目のケーブル)、これ単体で売って欲しいと思いました。
組立自体は説明書の通りに行えば難しくないのですが、細いケーブルを取り扱う部分があるので、注意は必要です。
なお、下図のStep 3-3はスクリューを付属の六角レンチで回すのですが、どこかにねじ込んでいるわけでもなく、意味があるのか疑問でした。
また、Step 8-5でキーボードをBall Head Screwsにはめ込むのですが、ここでキーボードの下に来るケーブルをうまくまとめないと、キーボードが上に盛り上がって非常に不格好になります。
それを直すためにキーボードをBall Head Screwsから外すのはそこそこ大変なので、ここは組立中で最もストレスを感じました。
なお、このキーボードの盛り上がりを完全になくすのは難しいのでは?という気がしています。組み立てた方ならわかると思いますが、本ページのPi-Topの写真は、キーボードの中央部が若干盛り上がっています。
起動
組み立て終わったら、付属のPi-Top OSの入ったmicroSDで起動してみます。起動画面の後、ログイン画面になるのですが、ここでできるのは、下記の通りです。
- Wifiのセットアップ(Viewでパスワード入力可)
- ネットワークログイン(Pi-Topサイトのアカウントでログインできるらしい)
- ユーザーの作成
- ゲストアカウントでのログイン(Read Onlyで、設定ファイル等変更できない)
Pi-Topサイトのアカウントでログインできるようなのですが、実際にログインしようとすると、下図のように「logging in」の状態のまま先に進みません。
なお、ネットワークに接続していない状態では、Read Onlyなゲストアカウントでの作業になりますので、実用的ではありません。Raspbian wheezyベースであることはわかるのですが、いつものユーザーpiでのログインはできませんでした。
なお、ネットワークに接続していない状態では、Read Onlyなゲストアカウントでの作業になりますので、実用的ではありません。Raspbian wheezyベースであることはわかるのですが、いつものユーザーpiでのログインはできませんでした。
色々試行錯誤した結果、以下の方法でPi-Topサイトのアカウントでログインできるようになりました。あらかじめPi-Topサイトのアカウントを持っていることが条件です。
それなら最初からユーザーpiでログインさせてくれれば良いのに、と思いました。
そこで、実際にユーザーpiでログインできるよう設定した結果をこちらのエントリにまとめました→「Raspberry PiをノートPC化するPi-Topにユーザーpiでログインしてみた」。Pi-Top OSを普通のRaspbianに近い状態で使う方法も記しております。
- まず、Wifiに接続します。Viewボタンをクリックするとパスワードを入力できたと思います
- 右下の設定アイコンをクリックし、Create Accountにより、アカウントを作成します。その際、ユーザーネーム、パスワード、メールアドレスは適当に設定します(このアカウントは最終的には使われなくなります)
- すると一時的にログインできますが、そのまま再起動すると、またログインできなくなってしまいますので、再起動はしないようにしましょう
- そこで、ターミナルを起動し、下記のコマンドを実行し、OSを更新します
- curl -sL https://www.pi-top.com/download/patch1 | sudo bash -
- コマンドを実行すると、自動的にログアウトされ、もう一度ログインを求められます。この段階で、Pi-Topのアカウントでログインできるようになっています
それなら最初からユーザーpiでログインさせてくれれば良いのに、と思いました。
そこで、実際にユーザーpiでログインできるよう設定した結果をこちらのエントリにまとめました→「Raspberry PiをノートPC化するPi-Topにユーザーpiでログインしてみた」。Pi-Top OSを普通のRaspbianに近い状態で使う方法も記しております。
なお、このPi-Top OSを用いるメリットは下記の通りです。
- バッテリーの残量がわかる
- キーボードでディスプレイ輝度を調節できる
- 電源ボタンの長押しでシャットダウンコマンドが実行された後に電源が切れる
通常のRaspbianで使うには?
Pi-Top OSが付属するからといって、通常のRaspbianで使えないわけではありません。以下、Pi-Topを通常のRaspbianで使う際の注意を記していきます。NOOBS 1.4.1 (wheezy)とNOOBS 1.4.2 (jessie)で試しました。まず、デフォルトでは画面端に黒い帯が現れて画面の広さが狭くなってしまいます。Overscanの設定をDisableに設定すると改善することができます。以前からあるraspi-configを用いる場合は「8 Advanced Options」→「A1 Overscan」から、NOOBS 1.4.2 (Jessie)からの新設定アプリケーションでは「System→Overscan」からDisableに設定できます。
なお、通常のRaspbianを用いると、
- バッテリーの残量がわからない
- キーボードでディスプレイ輝度を調節できない
- 電源ボタンを長押しするといきなり電源が落ちる
という問題があります。Pi-Top OSからこれらの機能を移植することも可能でしょうが、どちらかというと、Pi-Top OSをRaspbian風にするほうが簡単かもしれません。「Raspberry PiをノートPC化するPi-Topにユーザーpiでログインしてみた」にその方法を記しております。
なお、通常のRaspianを終了するときは
- 「sudo poweroff」を実行→シャットダウンプロセスが終わったら電源ボタン長押し
として電源を切るのが良さそうです。
Raspberry PiをノートPC風に使うということに関し、以前「Lapdock for Motorola Atrixを使ってRaspberry Pi 2をモバイルPCにしてみた」というエントリを書きました。その方法に比べると余計なケーブルが必要なく、とてもシンプルなのは良いと思います。感想など
ただ、気になる点もいくつかあります。
まず、サイズがおよそ340mm×210mm×47mm (最厚部)程度と大きく、実際に目にするとかなりの迫力です。
また、キーボードのクオリティがやや低いです。押しても反応しにくいキーがあり、私の場合、「k」キーを押した際に 7/10 くらいの確率でしか入力されませんでした。まあこれは慣れである程度はカバーできるだろうとは思います。
また、下図のようにRaspberry Piの40ピンのGPIOが全て塞がってしまうのが気になります。下図の左側の基板から、34ピンだけ引き出せそうなのですが、現時点ではその仕様が公式には公開されていないようです。この点はかなり気になったので自分で調べてみました。結果を以下のエントリにまとめました→「Raspberry PiをノートPC化するPi-Topで電子工作(LチカとI2C通信)してみた」。
個人的には、Pi-Top OSと名乗って、ログイン法を通常のRaspbianから大きく変えてしまったのは残念でした。通常のRaspbianにボード制御用アプリケーションを追加インストールする形式で十分だったように思います。
とは言え、触っていくほど愛着の湧く面白いおもちゃであるとも思います。やや高価な価格に納得できる方なら試してみても良いでしょう。
なお、Pi-Topからキーボード、タッチパッドを取り除いた、pi-topCEEDと呼ばれるものも資金調達に成功しており、こちらは送料等を除いて99ドルとお得になっています。今ならこちらの方が良いかもしれませんね。
追記(2016.1.14)
…と、2015年11月に上記のエントリを書いたのですが、実際のところ、私のPi-Topはほとんど使われることなく積まれた状態でした。何が問題かというと、やはりキーボードの性能が低すぎるのが致命的です。ブラウジングメインで用いるためのパワーが足りないのはRapsberry Pi 2の現状での限界なので仕方ありませんが、サーバーにリモートで接続するための端末として用いようとしても、Ctrlキーの押下が認識されたりされなかったりでは使い物になりません。
どうにかならないかと考え、ロジクールのワイヤレスキーボード&マウスであるMK240を購入したところ、Pi-Topが非常に快適に使えるようになりました。キーボードの足を起こしてPi-Topに載せると、Pi-Topのキーボードに干渉しないので良い感じです。唯一の不満はキーボードに電源スイッチがないことですが、まあこれはしょうがないかな。
そのようなわけで、今度こそPi-Topを使ってみようと思います。
こちらもどうぞ
- Raspberry PiをノートPC化するPi-Topにユーザーpiでログインしてみた
- Raspberry PiをノートPC化するPi-Topで電子工作(LチカとI2C通信)してみた
- JessieにアップデートされたPi-Top OSを試してみた
- pi-top v2を購入してStretch系列のpi-topOSで使ってみた
「ラズパイ4対応 カラー図解 最新 Raspberry Piで学ぶ電子工作」、「実例で学ぶRaspberry Pi電子工作」、「Raspberry Piではじめる機械学習」を執筆しました。
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