2014年3月7日金曜日

PandaBoard ESにUbuntu12.04 Serverを載せてmjpg-streamerを動かした話

はじめに

Raspberry Pi用赤外線カメラPi NoIRの映像をandroidで表示してみた」で、
Raspberry Piの赤外線カメラの映像をandroidにストリーミングしてみましたが、
Raspberru Piの性能では解像度320x240、フレームレート10fps程度が安定に動作する限界でした。
USBカメラを用いてもこれは大差ないと思います。

2014/3/21(金)に秋葉原で開催されるAndroid Bazaar and Conference 2014 Spring (ABC2014S)
でもこのような動画のストリーミングを用いた展示を行おうと考えているのですが、
320x240の10fpsでは動画のクオリティとしては少し物足りないです。

そのため、Raspberry Piよりも高性能なボードが必要になります。
気になるのはBeagleBoneBlackだったのですが、ABC2014Sではコンセントが使えるので、
より高性能なボードを使って確実な動作を目指すことにしました。
そこで用いたのが、職場で余っていたPandaBoard ESです。

以下、PandaBoard ESにUbuntuを導入し、mjpg-streamerを動かすまでの解説です。



OSのインストール

Omap4用のUbuntu 12.04 Serverをこちらの解説に従いインストールします。
SDカードへの書き込みは私の場合PC上のUbuntuで下記のように行いました。
/dev/sdeの部分は環境に応じて書き換えます。
$ sudo dd bs=4M if=ubuntu-12.04-preinstalled-server-armhf+omap4.img of=/dev/sde

書き込んだSDカードをPandaBoard ESに差します。
さらに、シリアルケーブルでPCとPandaBoard ESを接続し、
115200bpsでPCからPandaBoardにシリアル接続しておきます。

以上の準備の元、電源を投入すると、インストールが始まります。

デフォルトのネットワークインターフェイスはここでは有線のeth0を選択しましたが、
後でWifiドングルの設定を行うので、ここではネットワークの設定をスキップしました。

途中、インストールするパッケージを聞かれますので
  • Basic Ubuntu server 
  • OpenSSH server
を選択しました。

Wifiの設定

まず、ネットワークの接続にWifiを用いたかったのでその設定をします。
Ubuntuをインストールするとボード上のWifiデバイスがwlan0として使えるのですが、
技適の問題があることと、パフォーマンスがあまり良くないらしい(ただし試してない)ことの
2点より、市販のWifiドングルを用いることにしました。

用いたのはIO-DATAのWN-G150Uです。

まず、ボード上のWifiデバイスを無効にするために、 /etc/modprobe.d/blacklist.conf の末尾に
下記の内容を追記します。

blacklist wl12xx_sdio

記述したら再起動し、Wifiドングルをさします。

$ ifconfig -a

を実行し、wlan0が存在することを確認します。
wlan1となっていたら、 /etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules を編集して
wlan0として認識されるようにします。

次に、 /etc/network/interfaces の末尾にに下記の内容を追記します。
これは192.168.1.9という固定IPアドレスとするための設定なので、
環境に応じて書き換えます。

auto wlan0
iface wlan0 inet manual
wpa-roam /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
iface default inet static
address 192.168.1.9
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.1.1

次に、/etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confを作成し例えば下記のように記述します。
接続先のSSID、暗号化プロトコル、パスフレーズなどは環境に応じて変更します。

network={
        ssid="YOUR SSID"
        proto=RSN
        key_mgmt=WPA-PSK
        pairwise=CCMP
        group=CCMP
        psk="YOUR_PASSPHRASE"
}


最後に、/etc/resolv.confを作成してDNSサーバーを記述します。例えば下記の通り。
本当はresolvconfに自動生成させるらしいのですが
Server版のためかうまくいかなかったので手作業で記述しました。

nameserver 192.168.1.1

以上の設定がうまくいくと、再起動によりWifiでネットワークに接続されているはずです。

mjpg-streamerのインストール

まず、OSを最新にします。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade

そして、mjpg-streamerのビルドに必要な下記をインストールします。

$ sudo apt-get install build-essential libjpeg8-dev libv4l-dev imagemagick subversion

それが済んだら、下記のようにmjpg-streamerのダウンロードからビルドまで行います。

$ cd ~/
$ svn co https://svn.code.sf.net/p/mjpg-streamer/code/mjpg-streamer mjpg-streamer
$ cd mjpg-streamer
$ make

mjpg-streamerの起動

起動の前に、/etc/modprobe.d/blacklist.conf の末尾に

blacklist snd_usb_audio

を記述して再起動しておきます。一部のUSBカメラとUSBオーディオのドライバとの相性が悪いためです。
このあたりに書いてあります。

起動は下記のような流れで行います。解像度640x480のフレームレート15fpsとしています。
30fpsでもPandaBoard側は問題なく動作しますが、受信側にそこまでの性能はないと考え
控えめに15fpsとしました。

$ cd ~/mjpg-streamer
$ export LD_LIBRARY_PATH="$(pwd)"
$ sudo ./mjpg_streamer -i "./input_uvc.so -d /dev/video0 -r 640x480 -f 15" -o "./output_http.so -w ./www"

動作確認

PCのブラウザで、PandaBoardが動いているIPアドレスの8080ポートを見ると(http://xx.xx.xx.xx:8080/)、
映像が配信されていることがわかります。

この映像をandroidで受け取るには、いつも通り簡単MJPEGビューアを使います。
このアプリのソースはこちらにあります。

アプリを起動したら、メニューから「設定」を選択し、解像度を640x480に、ポート番号を8080に設定します。

ABC2014Sでは望遠カメラをストリーミングし、観光地にある望遠鏡のように
上下左右に動かすデモを行う予定です。
Wifiを使うので、うまくいくかは当日にならないとわからないのがつらいところ。

mjpg-streamerの自動起動

mjpg-streamerを自動で起動するためには、例えば下記のようにします。

mjpg-streamerをビルドしたディレクトリが/home/username/mjpg-streamer
であると仮定します。このディレクトリにstart-mjpg-streamer.shというファイルを作成し、
下記の内容を記述します。

#!/bin/sh

cd /home/username/mjpg-streamer
export LD_LIBRARY_PATH="$(pwd)"
./mjpg_streamer -i "./input_uvc.so -d /dev/video0 -r 640x480 -f 15" -o "./output_http.so -w ./www"


次に、このスクリプトを/etc/rc.localに記述することで、自動起動します。

(中略)

sudo sh /home/username/mjpg-streamer/start-mjpg-streamer.sh &

exit 0 ←この行はもともとある行

おしまい。

んー、やっぱり後でBeagleBoneBlackでも試そう。

0 件のコメント:

コメントを投稿