2014年2月6日木曜日

Nexus 4 用に日本語対応の Firefox OS をビルドした話

今までGalaxy S3やXperia arc/rayに android 4.0 (Ice Cream Sandwich) ベースの
Firefox OS1.1をビルドしてきましたが、android 4.3 (Jelly Bean) ベースのものは
試したことがなかったので、練習として Nexus 4 に最新の Firefox OS をビルドしてみました。

使ってみたところ、日本語IMEが実用レベルに近づいており、
twitter/Facebook/Google+などのSNSの読み書きができたのでメモします。



ビルド済みファイル

下記のファイルをダウンロードします。

(md5sum: bd173d4d1b6cedd080256c1e14a4e2fc)
このファイルの利用は自己責任でお願いします。

書き込み

ダウンロードしたファイルを解凍して、boot.img、system.img、userdata.imgを
あらかじめ取り出しておきます。

これらを書き込む前に、radioがandroid 4.3のときのものでないとWifiが使えませんので、
あらかじめfastbootで書き込んでおきます。
Factory Images for Nexus Devicesよりoccam-jwr66y-factory-74b1deab.tgzをダウンロードしておき、
中に含まれる radio-mako-m9615a-cefwmazm-2.0.1700.84.img を下記のように書き込みます。

$ fastboot flash radio radio-mako-m9615a-cefwmazm-2.0.1700.84.img

あとは、 boot.img、system.img、userdata.img を以下のようにfastbootで書き込み、再起動します。
SDカード領域は初期化されますので、バックアップはPCなどに退避しておきます。
なお、初回の起動は黒い画面のまま15秒くらい待たされます。

$ fastboot flash boot boot.img
$ fastboot flash system system.img
$ fastboot flash userdata userdata.img
$ fastboot reboot

日本語キーボードの有効化など

設定アプリから
キーボード→使用中のキーボード→他のキーボードを追加
と辿り、Japanese - Kanjiにチェックを入れると、日本語キーボードが使えます。
テキストエリアをタップすると自動でキーボードが現れます。

初回の変換時にIMEが固まるので、一度ホームボタンでホームに回避してから、
もう一度変換を試みると、以後普通に使えるようになります。

その他

なお、docomoのXi SIMを差してmopera.netを指定したのですが、
アンテナは立つものの、回線をつかんでくれません。
ただし、Wifiが使えるのでそれなりに使えます。

また、adb が使えるので、adb push hoge.mp3 /sdcard/
などとしてファイルを送り込めば音楽や動画を再生できます。

「ブラウザ」というのがFirefoxかなーと思うのですが、
これ、ブックマークとかないのかな?Firefox OSはご無沙汰なのでよくわかりません。

ソースは2014年2月3日の時点のものを利用しました。
gaia は 1.4.0.0prerelease
gecko は 29.0a1です。

ビルドに関して

以下のサイトを参考に、ビルド法を以下に記します。
なお、上での述べたように、ビルド済みファイルは2014年2月3日のソースを用いましたが、
2014年2月5日頃のソースでは、gecko が 30.0a1になったことが影響しているのか、
下記のように色々おかしなところが出てきています。
  • ホームボタンのサイズが合っておらず、Firefoxアイコンが欠けている
  • セットアップ時の地域の変更が画面に反映されない(内部的には処理されている)
  • テキストエリアをタップしてもキーボードが現れない(Wifiのパスフレーズが入力できず困る)
このように、Firefox OSのmasterは頻繁に更新されており、
常に期待の動作をするとは限りませんので、うまくいかない場合は
何日かおいてからまた試してみるのがよいかもしれません。

以下、ビルド法です。

ソースの準備

ソースを下記のようにダウンロードします(環境によりますが30分~1時間くらいかかります)。

$ mkdir ~/b2g_work
$ cd ~/b2g_work
$ export B2G_WORK=`pwd`
$ git clone git://github.com/mozilla-b2g/B2G.git
$ cd B2G
$ ./config.sh nexus-4

日本語対応など

日本語ロケールの追加、日本語辞書の追加などを行います。

まずはgaiaのロケールの追加。

$ mkdir $B2G_WORK/B2G/locales
$ cd $B2G_WORK/B2G/locales
$ hg clone http://hg.mozilla.org/gaia-l10n/ja
$ wget http://sola-dolphin-1.net/data/B2G/source/languages-japan.json

次にgeckoのロケールの追加。

$ mkdir $B2G_WORK/B2G/gecko-l10n
$ cd $B2G_WORK/B2G/gecko-l10n
$ hg clone http://hg.mozilla.org/l10n-central/ja
$ hg clone http://hg.mozilla.org/build/compare-locales

次に日本語辞書の追加

$ cd $B2G_WORK
(naist-jdic-0.4.3.tar.gzを http://sourceforge.jp/projects/naist-jdic/releases/ からダウンロードして配置)
$ tar zxvf naist-jdic-0.4.3.tar.gz
$ cd $B2G_WORK/B2G/gaia/apps/keyboard/js/imes/jskanji/dict
$ mkdir ipadic
$ cp $B2G_WORK/naist-jdic-0.4.3/naist-jdic.dic ipadic/
$ make json (この命令は環境変数LANGの値によっては失敗します。ja_JP.utf8 にセットすればよいです)

環境変数設定

次に、環境変数設定を行います。

$ export MOZILLA_OFFICIAL=1
$ export GAIA_DEV_PIXELS_PER_PX=2
$ export LOCALE_BASEDIR=$B2G_WORK/B2G/locales
$ export LOCALES_FILE=$B2G_WORK/B2G/locales/languages-japan.json
$ export L10NBASEDIR=$B2G_WORK/B2G/gecko-l10n
$ export MOZ_CHROME_MULTILOCALE="ja"
$ export PATH="$PATH:$B2G_WORK/B2G/gecko-l10n/compare-locales/scripts"
$ export PYTHONPATH="$B2G_WORK/B2G/gecko-l10n/compare-locales/lib"
$ export GAIA_KEYBOARD_LAYOUTS=en,jp-kanji

ビルド

以下のようにビルドを行います。

$ cd $B2G_WORK/B2G
$ ./build.sh

ビルドが終わると、
  out/target/product/mako/
に boot.img、system.img、userdata.img ができていますので、これをfastbootで書き込みます。



備考

私が2014年2月3日にビルドした時のコミット情報は

  • gaiaのコミット e9222d3b3e6047f05b929948b631e4bd6b5b0180
  • geckoのコミット 1fded49c645d068599f4f6f17ae17505cf05d2b3
で、この時のソースで日本語辞書を追加するときは


の方法で行う必要がありました。参考までに。

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